旅と寅さん。

秋です。

特別な理由がなくても、なんだか出かけたくなってくる季節。

そんな季節の始まりを感じさせる朝の冷え込みを感じながらオフィスへ入ると、
講談社から一冊の本が届いていた。

今年は「男はつらいよ」50周年。
山田洋次監督が、寅次郎の古くて新しい物語を発表されたのでした。

かつて、「男はつらいよ」のロケ地の現在を仕事で訪ね回ったことがあった。

驚いたのは、50年近く経った現在でも、
多くの場所が当時とあまり変わっていなかったこと。
これだけ変化の激しい時代の中で、もちろんたくさんの風景が変容していくのだけれど、
山田洋次監督が当時から見ていた「日本らしい風景」は、今も日本らしいままだった。

行く先々で、「男はつらいよ」のロケ現場を見ていた・エキストラで出た、
というおじいちゃん、おばあちゃんに歓迎を受けた。

寅さんは、架空の人物である。しかし各地域の人々は、
まるで寅さんと同じ時を過ごしてきたかのように、饒舌に、思いを込めて、
当時を懐かしんでくれた。


寅さんの旅って、何なのだろう?

かつて日本一周をしていた頃、ふと考えた夜が幾度かあった。

現代は「つながる」ことを求めている時代。
コミュニティやサークルや、多種多様な集まりが生まれていて、
所属することがなんだか大切にされているような。

寅さんはつながったり離れたりを繰り返し、
それでも出会った人の心に、自分を植え付けてきた。
図らずも。

他人からの評価、人目なんてなんのその。我は我を往く。それだけだった。

目的は「つながること」ではなく、その先に人に対してどうありたいか、ということ。

寅さんの旅は、今も変わらずそんなことに気付かせてくれる。

今秋の旅は、活字を追い、空想にふけることから始まるのだった。


旅をしよう。
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